
「鍼灸師は儲からない」
「資格を取っても食えない」
「開業しても生活できない」
鍼灸師を目指している方や、これから開業を考えている方なら、一度はこのような話を聞いたことがあると思います。
私自身、2008年に広島県安芸郡海田町で【ゆうこん堂鍼灸院】を開業しましたが、最初の3年間はほとんど稼げませんでした。
開業直後は週に2~3人しか来院がなく、月の売上が7万円ほどだった時期もあります。
「このまま鍼灸師を続けて生活できるのか」
「家族を養えるのだろうか」
と何度も考えました。
それでも試行錯誤を続け、現在まで一人で鍼灸専門院を経営しています。
開業18年を経験した私の結論は、
鍼灸師だから食えないのではなく、資格を取っただけでは安定した収入になりにくい仕事
だということです。
鍼灸師は本当に儲からないのか
鍼灸師として生活できる収入を得ることは可能です。
ただし、資格を取得して就職したり、鍼灸院を開業したりすれば自然に高収入になる仕事ではありません。
勤務鍼灸師なら給与は勤務先によって大きく異なります。
自分で開業すれば売上の上限は高くなりますが、患者さんが来なければ収入はゼロです。
開業鍼灸師の場合、収入は主に、
・施術料金
・患者数
・営業日数
・新規患者数
・再来率
・キャンセル数
・固定費
によって決まります。
つまり、資格だけで収入が決まる職業ではありません。
私も「鍼灸師では食えない」と思った時期がある
開業した当初、私は看板を出していれば少しずつ患者さんが来ると思っていました。
しかし、ほとんど来ませんでした。
技術以前に、地域の方が鍼灸院の存在を知らなかったのです。
患者さんが来なければ、
施術経験も増えない。
売上も増えない。
経営の改善点も分からない。
それでも家賃や生活費は必要です。
開業直後の数年間は、
「鍼灸師を選んだのは失敗だったのではないか」
と思うこともありました。
今振り返ると、鍼灸師という仕事そのものが悪かったのではありません。
私は施術の勉強はしていましたが、患者さんに知ってもらう方法や経営についてほとんど知らなかったのです。
一人鍼灸院は月にいくら売上が必要なのか
一人鍼灸院の売上は、基本的には、
施術料金 × 患者数 × 営業日数
です。
例えば施術料金5,000円で、
1日6人 × 月25日
なら、単純計算で月商75万円です。
しかし、75万円すべてが自分の収入になるわけではありません。
そこから、
・家賃
・光熱費
・通信費
・鍼やお灸などの消耗品
・広告費
・決済手数料
・税金
・社会保険料
などを支払います。
したがって、
売上=手取り
ではありません。
反対に、一人鍼灸院はスタッフを多く抱えなくても営業できます。
店舗を大きくせず固定費を抑えれば、売上がそれほど大きくなくても利益を残せるのはメリットです。
鍼灸師が「生活できない」と言われる理由
鍼灸師が食えない、生活できないと言われる理由はいくつかあります。
患者さんが自然に来ると思ってしまう
鍼灸院を開業しただけでは患者さんは来ません。
近所の方が、
「どこにあるのか」
「何をしているのか」
「どんな症状を相談できるのか」
を知らなければ、候補にも入りません。
技術と経営は別物
施術技術が高くても、患者さんに存在を知られていなければ来院にはつながりません。
逆に広告が上手でも、来院後の施術や対応に納得してもらえなければ再来につながりません。
施術者としての能力と、経営者としての能力は別に必要です。
固定費を掛けすぎる
開業時に立派な店舗を作り、高額な設備を購入し、スタッフを雇えば、患者さんが少ない時期でも毎月支払いが発生します。
売上を増やすことと同じくらい、
売上が少なくても生き残れる経営
が重要です。
鍼灸師として食べていくために必要だった5つ
私が18年間経営してきて重要だと感じるのは、次の5つです。
1.施術力
患者さんは身体の悩みを相談するために来院します。
自分の対応範囲を判断し、必要であれば医療機関への受診を勧めることも含めて、施術者として学び続ける必要があります。
2.認知
腕が良くても、知られていなければ患者さんは来ません。
ホームページ、Googleマップ、口コミ、SNS、看板などを使って、まず存在を知ってもらう必要があります。
3.再来
毎月新規患者さんだけを大量に集め続ける経営は安定しません。
施術や説明に納得してもらい、必要なときに再び相談してもらえる関係を作ることが重要です。
もちろん、不必要な通院を強く勧める必要はありません。
4.固定費
私は一人でベッド1台の鍼灸院を経営しています。
固定費が低ければ患者さんが少ない月でも耐えやすくなります。
経営が苦しいときほど、売上だけでなく支出を見ることも重要です。
5.継続
ホームページを作った。
SNSを始めた。
新しい施術を勉強した。
それだけですぐ結果が出るとは限りません。
何がうまくいって、何がうまくいかなかったのか確認しながら改善を続ける必要があります。
鍼灸師になって後悔しているのか
私は鍼灸師になったことを後悔していません。
ただし、
「資格を取れば一生安泰の仕事」だと思って鍼灸師になるなら、かなり厳しい
と思います。
勤務していて給料が上がらず悩む人もいるでしょう。
開業して患者さんが集まらず苦しむ人もいます。
施術以外に、集客・経理・ホームページ・予約管理などまで自分で行う必要がある場合もあります。
鍼灸が好きだからという理由だけでは、経営が苦しくなることもあります。
一方で、自分で働き方を決められ、経験を重ねながら長く続けられるのは魅力です。
鍼灸師は辛い仕事なのか
私は、楽な仕事だとは思いません。
患者さんの身体を扱う以上、責任があります。
思うような施術結果にならないこともあります。
予約が減れば収入への不安も出てきます。
自営業なら景気、競合、災害などの影響も受けます。
ただしこれは、鍼灸師だけに限った話でもありません。
自分で商売をする以上、良い時期も悪い時期もあります。
重要なのは、悪い時期に耐えられる経営にしておくことです。
家族を養える収入は得られるのか
私自身、開業当初は月商7万円ほどの時期がありました。
そこから施術経験を積み、ホームページを作り、集客方法を見直し、固定費を抑えながら経営を続けてきました。
現在は一人で鍼灸院を経営しながら生活しています。
したがって、
「鍼灸師では生活できない」
とは思いません。
しかし、
「鍼灸師になれば誰でも生活できる」
とも言えません。
資格とは別に、患者さんから選ばれる理由を作る必要があります。
鍼灸師が儲からないのではなく、鍼灸院経営が難しい
開業18年を経験して、これが私の結論です。
鍼灸師の資格は施術をするための資格です。
患者さんを集める方法、料金設定、物件選び、広告、税金、ホームページ運営まで教えてくれる資格ではありません。
そのため、施術だけを勉強して開業すると、経営面で苦労する可能性があります。
料理が上手だから飲食店経営もうまくいくとは限らないのと同じです。
鍼灸師も、
施術者としての力と、経営者としての力
の両方が必要です。
開業18年で出した私の結論
鍼灸師は簡単に儲かる仕事ではありません。
開業しても患者さんが来なければ、生活できない可能性があります。
私自身、最初の3年間はほとんど稼げませんでした。
それでも、
・施術力を磨く
・存在を知ってもらう
・患者さんに納得してもらう
・固定費を抑える
・数字を確認して改善を続ける
ことで、鍼灸院を長く続けることは可能です。
「鍼灸師は食えない」
「鍼灸師になって後悔する」
という言葉だけで進路を決める必要はありません。
ただし、資格を取れば何とかなる仕事でもありません。
これから鍼灸師を目指す方や開業を考えている方には、施術の勉強と同じくらい、経営についても学んでおくことをおすすめします。
私自身も、18年間ずっと順調だったわけではありません。
これからも試行錯誤を続けながら、一人の鍼灸師として鍼灸院を続けていきます。
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