鍼灸師は自分で鍼治療する?
「鍼灸師は自分にも鍼を打つの?」
患者さんから時々聞かれる質問です。
私は鍼灸師なので、自分自身の身体の状態を確認するためにセルフ鍼を行うことがあります。
高校生の頃から腰痛持ちだった私は、鍼灸師になってから自分の腰痛にも鍼を使ってきました。
以前は腰が痛くなっても、自分で鍼をすれば楽になることが多く、
「自分の腰痛くらい自分で何とかできる」
と思っていました。
ところが、ある時から腰に鍼をしても全く改善しない腰痛に悩まされるようになりました。
この経験が、現在の私の
「腰が痛いからといって、腰だけを施術しない」
という考え方につながっています。
※この記事は鍼灸師である私自身の体験談です。一般の方が自分で身体に鍼を刺すことをおすすめするものではありません。
高校生の頃から腰痛持ちでした
私は高校時代、空手道をしていました。
空手は突きや蹴りの際に下半身の力を上半身へ伝えるため、腰を大きく使います。
私自身、高校生の頃に腰椎椎間板ヘルニアを経験しました。
手術は受けませんでしたが、それ以来、腰痛とは長い付き合いになりました。
その後、鍼灸師になってからは自分の身体にも鍼をするようになりました。
仕事でも患者さんへ鍼をするときには中腰になることがありますし、当時はトレイルランニングもしていたため、腰に負担がかかることは珍しくありませんでした。
それでも腰が痛くなれば自分でケアできていたので、大きな問題とは考えていませんでした。
自分で鍼をしても治らない腰痛
ところが、ある時から状況が変わりました。
いつものように腰が痛くなったので、自分で腰周辺を確認して鍼をしました。
しかし、なかなか楽になりません。
「いつもの腰痛とは違うな」
と思いながら身体の状態を調べていくと、腰だけを見ていたこと自体が間違いなのではないかと考えるようになりました。
腰が痛いから腰へ鍼をする。
当時の私は、それを当たり前だと思っていたのです。
そこで腰だけではなく、お尻や股関節周囲、身体の深部にある筋肉まで考えるようになりました。
その経験から、
痛みを感じている場所と、負担の原因になっている場所は必ずしも同じではない
と実感しました。
これが私の腰痛施術に対する考え方を大きく変えるきっかけになりました。
腰痛では腸腰筋も確認します
腰痛の方を施術するとき、私が確認する筋肉の一つが腸腰筋(ちょうようきん)です。
腸腰筋は腰椎から骨盤・股関節周辺につながる身体の深い場所にある筋肉です。
上半身と下半身をつなぐ重要な役割があり、立つ・歩く・脚を持ち上げるといった動作にも関係しています。
長時間のデスクワークや車の運転など、股関節を曲げた状態が続く生活では、腸腰筋周辺に負担がかかることがあります。
また、ランニングやスポーツなどで股関節を繰り返し使う方も確認したい場所です。
腰痛だからといって、腰の筋肉だけが問題とは限りません。
腰だけをマッサージしても戻るのはなぜ?
「腰を揉んでもらうと楽になるけれど、すぐに元へ戻る」
という方もいます。
腰そのものに強い緊張があれば、腰をマッサージすることで一時的に楽になることはあります。
しかし、腰以外にも負担の原因がある場合、腰だけを施術しても繰り返すことがあります。
例えば腰痛では、
- 腰・背中
- お尻
- 腸腰筋
- 股関節周囲
- 太もも
など、複数の場所が関係していることがあります。
私自身が腰だけに鍼をして改善しなかった経験から、現在は「腰痛だから腰だけを見る」という施術はしていません。
こんな腰痛は身体全体を確認します
特に次のような方は、腰以外の筋肉も確認します。
- 長時間座っていると腰がつらい
- 車を長時間運転する
- 立ち上がると腰が痛い
- 腰の奥に痛みや張りを感じる
- マッサージを受けてもすぐ戻る
- ランニングやスポーツをしている
- 腰痛を何度も繰り返している
腰痛には様々な原因があります。
そのため「この症状なら必ず腸腰筋」と決めつけるのではなく、実際に身体を動かしてもらいながら腰・お尻・股関節などを確認することが大切です。
足のしびれがある腰痛は注意
腰痛に加えて、
- お尻から足がしびれる
- 太ももやふくらはぎまで痛む
- 長く歩くと足がつらい
- 足に力が入りにくい
などがある場合は、単純な筋肉の腰痛ではない可能性があります。
坐骨神経痛などが関係する場合もあるため、腰だけで判断しないことが重要です。
強いしびれや筋力低下、排尿・排便の異常などがある場合には、鍼灸より先に医療機関を受診してください。
腰痛に対する当院の鍼灸施術
ゆうこん堂鍼灸院では、腰痛の方が来院されたからといって、最初から腰だけに鍼をするわけではありません。
痛みが出る動作や仕事、スポーツ、普段の姿勢などを確認したうえで身体を触診します。
そのうえで、
- 腰・背中
- お尻
- 腸腰筋などの深層筋
- 股関節周囲
- 太もも
などから、負担が大きくなっている場所を探して施術します。
鍼の特徴の一つは、身体の深い場所にある筋肉へアプローチできることです。
私自身が「腰だけに鍼をしても治らない腰痛」を経験したからこそ、現在は腰だけにこだわらず身体全体を見ることを大切にしています。
よくある質問
鍼灸師は自分で鍼を打つのですか?
鍼灸師によって異なりますが、私は自分の身体の状態を確認するためにセルフ鍼を行うことがあります。
ただし、鍼灸師は身体の構造や鍼の扱いについて専門教育を受け、国家資格を取得しています。一般の方が自己判断で鍼を刺すことをおすすめしているわけではありません。
自分で鍼治療をしても大丈夫ですか?
一般の方が自己判断で鍼を身体に刺すことはおすすめしません。
市販されている貼るタイプの鍼などとは異なり、身体へ刺入する鍼は専門的な知識が必要です。
腰痛が続く場合には、自分で鍼を刺すのではなく医療機関や鍼灸院などへご相談ください。
腰痛なのにお尻や股関節にも鍼をするのですか?
身体の状態によっては行います。
腰痛には腰だけでなく、お尻・股関節周囲・腸腰筋などが関係することがあります。
実際に身体を確認したうえで施術する場所を決めています。
マッサージで改善しない腰痛にも鍼灸はできますか?
筋肉の緊張などが関係している腰痛であれば、鍼灸がお役に立てる場合があります。
腰だけでなく、身体の深部やお尻・股関節周囲まで確認して施術します。
自分の腰痛経験が現在の施術につながっています
自分の腰痛なら自分で鍼をすれば何とかなる。
以前の私はそう考えていました。
ところが、腰にいくら鍼をしても改善しない経験をしたことで、考え方が変わりました。
腰が痛いからといって、腰だけが原因とは限りません。
これは現在、腰痛の患者さんを施術するときにも大切にしている考え方です。
【ゆうこん堂鍼灸院】は2008年開業、広島県安芸郡海田町にある鍼灸専門院です。
長引く腰痛や、マッサージを受けても繰り返す腰痛でお悩みの方はご相談ください。
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