鍼灸院の開業費用と集客方法|開業18年の私が今ならこうする
これから鍼灸院を開業しようと考えている鍼灸師の方へ。
開業には不安がつきものです。
「開業資金はいくら必要なのか」
「患者さんは本当に来てくれるのか」
「看板やチラシにお金をかけるべきか」
「ホームページやSNSは何から始めればよいのか」
このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
私は2008年に広島県安芸郡海田町で【ゆうこん堂鍼灸院】を開業しました。
開業直後は週に2~3人しか来院がなく、月の売上が7万円程度だった時期もあります。
その後、試行錯誤を重ねながら鍼灸専門院として経営を続けてきました。
今振り返ると、
「これはやってよかった」
「ここにはお金をかけなくてもよかった」
「開業前にもっと準備しておけばよかった」
と思うことがたくさんあります。
この記事では、私がこれから新しく鍼灸院を開業するなら何を優先するのか、開業18年の経験をもとにお伝えします。
結論から言えば、私なら次のことを重視します。
・初期費用と固定費を抑える
・生活費を含めた運転資金を残す
・どのような患者さんを診たいか決める
・開業前からホームページを作る
・GoogleマップとSNSを連動させる
・広告は小さく試して数字で判断する
・売上が安定するまで別の収入源も確保する
豪華な内装や大きな看板よりも、資金を守りながら自院の存在を知ってもらう仕組みを作ることが大切だと考えています。
私が今から鍼灸院を開業するなら
以前、広島市中心部への移転を真剣に考えたことがあります。
現在の鍼灸院がある海田町は、広島市・呉市・東広島市のどこからも通える一方で、中心部と比べると利便性が高い場所ではありません。
広島市中心部へ移転すれば、会社員や買い物客など多くの人の目に触れ、売上を伸ばせる可能性があると考えました。
しかし、さまざまな事情から移転はしませんでした。
そのときに、
「これまでの患者さんやホームページがない状態で、新しい場所に一から開業するならどうするか」
を本気で考えました。
今の私なら、立派な店舗を作ることよりも、できる限り小さく始め、長く続けられる経営を優先します。
最初に決めるのは店舗ではなく経営方針
開業を考えると、最初に物件や内装を探したくなるかもしれません。
しかし、私なら物件探しの前に、
「どのような鍼灸院にするのか」
を決めます。
例えば、
・腰痛や坐骨神経痛を中心に対応する
・スポーツ障害に力を入れる
・妊活や女性の体調不良を中心にする
・高齢者が通いやすい院にする
・会社員が仕事帰りに通える院にする
などです。
最初から一つの症状だけに限定する必要はありません。
しかし、誰に来てほしいのかが決まっていないと、物件選び、営業時間、料金、ホームページの内容がすべて曖昧になります。
若いスポーツ選手を集めたいのに、駅から遠く車がなければ通えない場所を選ぶと不便です。
高齢者を対象にするのに、エレベーターのない建物の上階では通院が難しくなります。
会社員を対象にするなら、平日の夕方以降に営業できるかどうかも重要です。
まずは理想の患者像を考え、それに合った店舗と営業方法を選ぶべきです。
初期費用はできるだけ抑える
私が開業したときの費用は、家賃や物件取得費を含めて約130万円でした。
一般的な治療院の開業費用と比べると、かなり抑えた方だと思います。
新しく購入した主なものは、
・施術用ベッド
・照明
・カーペット
・椅子
などでした。
受付台はパソコン台に板を取り付けて自作し、パソコンやハンガーなどは自宅にあるものを利用しました。
それでも、今振り返ると必要以上にお金をかけた部分があります。
特に大きかったのが看板です。
立て看板に約40万円、壁面看板なども含めると約50万円を使いました。
開業時には、
「目立つ看板がなければ患者さんに見つけてもらえない」
と考えていたからです。
しかし現在なら、同じ金額を看板に使うことはありません。
看板が有効な立地もありますが、すべての鍼灸院に大型看板が必要とは限りません。
通行量の少ない場所やマンション型の鍼灸院では、Googleマップやホームページから来院する人の方が多くなることもあります。
私なら、
・必要最低限の施術用ベッド
・患者さん用の椅子
・照明
・タオルや消毒用品
・鍼やお灸などの施術用品
・予約や会計に必要な機器
を優先し、装飾品や高級家具は後回しにします。
高級な机や椅子を購入しても、それだけで新規患者が増えるわけではありません。
美容鍼や高価格帯のサービスなど、内装や高級感が重要になる業態もあります。
しかし、痛みやスポーツ障害を中心に対応する鍼灸院であれば、清潔感と安心感があれば十分だと私は考えます。
家賃と固定費を抑える
開業費用だけでなく、毎月かかる固定費を抑えることも重要です。
経営が苦しい時期に負担となるのは、最初に支払った内装費よりも、毎月出ていく家賃や広告費です。
私なら、
・必要以上に広い物件を選ばない
・最初から複数のベッドを置かない
・管理費や駐車場代も含めて考える
・高額なリース契約を避ける
・長期間の広告契約を安易に結ばない
ことを徹底します。
一人で施術するのであれば、ベッドは1台でも経営できます。
ベッドを増やせば広い物件が必要になり、家賃や光熱費も増えます。
開業時からスタッフを雇う予定がなければ、最初は小さな店舗で十分です。
マンション型や小規模テナントも選択肢になります。
ただし、家賃の安さだけで物件を決めるのは危険です。
・治療院として利用できる物件か
・患者さんが入りやすいか
・エレベーターがあるか
・近隣に駐車場があるか
・音や臭いに関する問題がないか
・看板や案内表示を出せるか
なども確認してください。
開業資金よりも運転資金を残す
開業前は、店舗や設備にお金を使いすぎてしまいがちです。
しかし、私が最も大切だと思うのは、開業後に売上が少ない期間を耐えるための資金です。
私自身、開業直後は週に2~3人しか患者さんが来ないことがありました。
月の売上が7万円程度では、家賃や生活費を支払うだけで資金が減っていきます。
患者さんが増えるまでには時間がかかります。
開業しただけで、翌月から予約が埋まることはほとんどありません。
そのため、開業資金をすべて使い切るのではなく、
・店舗の家賃
・自宅の家賃や住宅費
・食費
・光熱費
・通信費
・施術用品
・税金や保険料
を支払える運転資金を残しておく必要があります。
可能であれば、少なくとも半年程度は売上が少なくても生活できる資金を用意したいところです。
家族がいる場合には、家族の生活費も含めて考えなければなりません。
「開業費をいくらに抑えるか」だけではなく、
「売上が少ない状態で何か月耐えられるか」
を計算してください。
ホームページは開業前から準備する
私が今から開業するなら、店舗が完成してからホームページを作るのではなく、開業を決めた段階から準備を始めます。
ホームページは作成してすぐに検索上位へ表示されるとは限りません。
Googleにページを認識してもらい、記事が評価されるまでには時間がかかります。
そのため、開業の数か月前から、
・院名
・対応する症状
・施術方針
・料金
・営業時間
・アクセス
・院長プロフィール
・予約方法
などを用意します。
開業準備の様子も発信できます。
例えば、
・物件を決めた理由
・どのような患者さんを診たいか
・鍼灸に対する考え方
・施術室を作っている様子
・衛生管理への取り組み
・開業日のお知らせ
などです。
開業日になって初めて院の存在を知ってもらうのではなく、準備段階から少しずつ認知を広げることができます。
ホームページは自作すべきか
私は自分でホームページを作り、記事を書き続けてきました。
自作するメリットは大きいです。
・費用を抑えられる
・文章を自由に修正できる
・新しい記事をすぐに公開できる
・自分の言葉で施術方針を伝えられる
・患者さんの反応を見ながら改善できる
特にWordPressを使えば、専門的な知識がなくても少しずつページを増やせます。
ただし、すべての人に自作を勧めるわけではありません。
ホームページ制作には時間がかかります。
文章を書くことやパソコン作業が苦手な方が、施術の勉強や患者対応の時間を削ってまで自作する必要はありません。
その場合には、
・最初の設計だけ専門家に依頼する
・基本ページを作ってもらい、記事は自分で更新する
・文章だけ自分で書き、設定を依頼する
という方法もあります。
大切なのは、きれいなホームページを作ることではありません。
検索した人が、
「どのような施術をするのか」
「自分の症状に対応しているのか」
「料金はいくらなのか」
「安心して予約できるのか」
を判断できるホームページにすることです。
Googleマップを必ず整える
現在の地域集客では、ホームページだけでなくGoogleマップも重要です。
患者さんは、
「近くの鍼灸院」
「地域名+鍼灸院」
「日曜日に営業している鍼灸院」
などで検索し、Googleマップを確認します。
開業したら、Googleビジネスプロフィールに、
・正確な院名
・住所
・電話番号
・営業時間
・定休日
・施術内容
・院内や外観の写真
・駐車場の場所
・ホームページのリンク
・予約方法
を登録します。
住所が分かりにくい場合には、入口や周辺道路の写真も掲載します。
営業時間が変更になったら、ホームページだけでなくGoogleマップも修正します。
口コミを無理に集める必要はありませんが、実際に来院した方が自然に感想を書ける環境を整えることも大切です。
Googleマップは道案内だけではなく、来院前の不安を減らすための情報ページです。
SNSは認知を広げるために使う
私の開業当初は、現在ほどSNSが普及していませんでした。
今から開業するなら、SNSも活用します。
ただし、SNSだけで集客しようとは考えません。
SNSの役割は、まず院の存在を知ってもらうことです。
SNSで知った人が、
・Googleで院名を検索する
・Googleマップで場所を確認する
・ホームページで施術内容や料金を見る
・LINEや電話で予約する
という流れを作ります。
発信内容は、難しい医学知識ばかりでなくて構いません。
・開業準備
・院内の様子
・施術に対する考え方
・得意な症状
・営業時間
・駐車場
・予約状況
・日常の健康情報
などを発信します。
大切なのは、一度に多くの人へ一斉送信することではありません。
家族、友人、元同僚など、応援してくれそうな人には開業を丁寧に伝えます。
そのうえで、投稿を見た人が必要なときに思い出してくれる状態を目指します。
知ってもらえなければ、来院先の候補にも入りません。
しかし、繰り返し売り込みをすると距離を置かれることもあります。
役立つ情報と院の考え方を継続して発信することが大切です。
チラシや看板を全面否定しない
私は開業当初、チラシのポスティングにかなり力を入れました。
業者へ依頼すると費用がかかるため、自分で早朝に配布しました。
当時の反応率は、おおよそ0.4%程度だったと記憶しています。
決して反応がゼロだったわけではありません。
しかし、配布にかかる時間と費用を考えると、私にとっては長期的な集客方法にはなりませんでした。
現在の私なら、チラシや看板の優先順位を下げます。
ただし、
「チラシは絶対に効果がない」
「看板はすべて不要」
とは考えません。

例えば、
・近隣住民を主な対象にする
・高齢者が多い地域で開業する
・人通りの多い路面店である
・開業日を地域に知らせたい
・特定のイベントに合わせて配布する
場合には、チラシや看板が有効なこともあります。
広告は感覚で判断せず、
・何枚配布したか
・いくら使ったか
・何件問い合わせがあったか
・何人が来院したか
・その後継続して来院したか
を記録してください。
効果があれば続け、効果がなければやめる。
最初から大きな金額を使わず、小さく試すことが重要です。
有料広告も小さく試す
ホームページやSNSだけで十分に集客できる人もいます。
一方で、開業直後はホームページの検索順位が上がらず、有料広告を使った方が早く存在を知ってもらえる場合もあります。
私は、高額な掲載サービスや長期契約を安易に結ぶことには慎重です。
しかし、有料広告そのものを否定する必要はありません。
利用する場合には、
・毎月いくらまで使うか
・どの症状の患者さんを集めるか
・どの地域へ広告を出すか
・予約1件あたりの費用はいくらか
を決めます。
「何となく有名になりたい」という広告ではなく、目的を明確にしてください。
また、広告で来院者を集めても、ホームページの内容や予約導線が分かりにくければ予約にはつながりません。
広告を始める前に、
・料金
・施術内容
・アクセス
・営業時間
・予約方法
を分かりやすくしておく必要があります。
発信する内容は得意分野に寄せる
開業当初は、できるだけ多くの症状に対応できることを伝えたくなります。
しかし、何でも診ますと発信すると、かえって特徴が伝わりにくくなります。
例えばスポーツ障害を得意とするなら、
・ランニングで膝が痛い
・足首を捻挫した
・シンスプリント
・野球肩
・成長期の膝痛
などの記事を増やします。
腰痛や坐骨神経痛を中心にするなら、
・歩くと脚がしびれる
・長く座るとお尻が痛い
・腰を反らすと痛い
・朝起きると腰が痛い
など、患者さんが実際に検索する言葉で記事を書きます。
自分が書きたい専門知識ではなく、患者さんが困っている症状から発信することが重要です。
予約方法は開業前に整える
せっかくホームページやSNSを見てもらっても、予約方法が分かりにくければ離脱されます。
私なら開業前に、
・電話
・LINE
・予約フォーム
のいずれかを用意します。
すべてを導入する必要はありません。
大切なのは、
・どこから予約するのか
・いつ返信が来るのか
・当日予約が可能か
・キャンセル時はどうするか
が分かることです。
一人で運営する場合には、施術中に電話へ出られないこともあります。
その場合には、
施術中は電話に出られないことがあります。留守番電話へお名前と電話番号をお願いします。
など、患者さんが不安にならない案内を用意します。
開業しながらアルバイトをしても良い
開業したら鍼灸院一本で生活しなければならない、と考える必要はありません。
患者さんが少ない時期に、アルバイトや別の仕事をするのも一つの方法です。
開業直後は空き時間が多くなります。
その時間をすべてホームページやSNSの作業に使うこともできますが、手元の資金が減り続けると精神的な負担が大きくなります。
生活費の一部を別の仕事で確保できれば、焦って値下げをしたり、不要な回数券を販売したりする必要がありません。
例えば、
・平日の夕方から働く
・予約の少ない曜日だけ働く
・週に数日だけ勤務する
・鍼灸師として勤務しながら自院を育てる
などの方法があります。
ただし、アルバイトで疲れ切ってしまい、自院の発信や施術準備ができなくなるのは問題です。
生活費を守りながら、鍼灸院を育てる時間を確保できる働き方を選びます。
開業後は改善を続ける
ホームページを一度作れば終わりではありません。
SNSも、毎日投稿すれば自動的に患者さんが増えるわけではありません。
開業後は、
・どの記事が読まれているか
・どの検索語から来ているか
・どの地域から問い合わせがあるか
・電話、LINE、検索のどこから予約されたか
・どの症状の患者さんが多いか
を確認します。
反応のある記事は内容を充実させ、読まれていない記事はタイトルや内容を見直します。
不要な記事は統合し、似た記事が増えすぎないようにします。
私自身、ホームページの記事を増やすだけでなく、古い記事の統合や修正を何度も行ってきました。
ホームページは作ればすぐに成果が出るものではありません。
検索順位や来院数が安定しない時期もあります。
それでも、自分で修正し続けられる集客資産を持つことには大きな価値があります。
開業時にお金をかける優先順位
私が今から開業するなら、次の順番でお金を使います。
1.運転資金
売上が少ない期間を耐えるための生活費と固定費を最優先します。
2.清潔で安全な施術環境
施術用ベッド、鍼やお灸、消毒用品、タオルなどです。
3.ホームページと予約導線
自作する場合でも、ドメインやサーバー、必要な設定には費用がかかります。
4.Googleマップと院内外の写真
写真はスマートフォンでも撮れますが、暗く不潔に見えないようにします。
5.必要最低限の看板や案内表示
患者さんが入口を見つけられる程度で十分です。
6.効果を測定できる広告
最初から高額な契約はせず、小さく試します。
高級家具や豪華な内装は、売上が安定してからでも遅くありません。
私が今から開業するなら実行すること
私が新しい場所で一から鍼灸院を開業するなら、次のように進めます。
まず、診たい患者さんと得意分野を決めます。
次に、無理のない家賃の物件を探し、ベッド1台から小さく始めます。
開業の数か月前からホームページを作り、GoogleマップやSNSも準備します。
家族や友人、元同僚などには、開業することを丁寧に伝えます。
開業後は、患者さんが検索する症状を中心に記事を書きます。
チラシや広告は必要に応じて小さく試し、反応を記録します。
売上が安定するまでは、アルバイトや別収入も利用します。
そして、家賃や広告費を増やすより、まずは来院した患者さんに満足してもらうことを優先します。
これから鍼灸院を開業する方へ
鍼灸院の開業は大変です。
資格を取得し、施術技術を身につけても、開業しただけでは患者さんに存在を知ってもらえません。
一方で、自分の考える施術を行い、患者さんから直接感謝してもらえることは、開業鍼灸師の大きな魅力です。
開業時に大切なのは、立派な店舗を作ることではありません。
資金を守りながら、
・誰に来てほしいのか
・どのような症状を得意とするのか
・どうやって存在を知ってもらうのか
・どのように予約してもらうのか
を一つずつ整えることです。
看板、チラシ、ホームページ、SNS、有料広告には、それぞれ向き不向きがあります。
どれか一つを絶対視せず、自院の地域、患者層、予算に合わせて選んでください。
私自身、開業直後には患者さんが来ず、苦しい時期を経験しました。
だからこそ、これから開業する方には、最初から大きな借金や固定費を抱えてほしくありません。
小さく始め、発信を続け、改善を積み重ねる。
売上が安定するまで資金を守り、鍼灸院を潰さない。
これが、開業18年を経た私が、今から新しく鍼灸院を始めるなら最も大切にすることです。
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